決勝

広　陵６−０（２−０）永山南
得点者	岩田（19分），石井（21分），室井（46分，55分），村松（47分），大谷（52分）（広）
警告　吉村，濱市（永）
広　陵	ＧＫ久保田　ＤＦ宮原河，宮原枝，志摩，瀧本　ＭＦ室井，小林，大谷，村松ＦＷ石井，岩田　交替/ＦＰ森
永山南	ＧＫ中村　ＤＦ上田，吉村，川瀬　ＭＦ野田，工藤，河本，石井，佐々木　ＦＷ村中，武田　交替/ＦＰ濱市，猪俣
主審/西川（聖園）　副審/矢吹（神居東）　小野（鷹栖）
【戦評/則末（啓北）】　決勝は昨秋会長杯の覇者広陵と永山南の対戦となった。開始早々から20分間は永山南のペースでゲームは進んだ。ボールは一度エース河本に集められ攻撃が組み立てられる。河本は中央から左サイド，そしてディフェンスのゾーンまで幅広く動き，インステップキックによる正確なサイドチェンジやクロスボールを配球。また，河本がボールをキープしている間に，周りの選手がフリーになるよう動き始め，そこからショートパスをつないで広陵ＤＦを攪乱する。また，ＤＦ上田が機をねらって迫力ある攻撃参加を見せ，攻撃にアクセントをつける。守備では野田が中盤の底で体を張ってボールを奪取し，河本へボールを供給する。３分には左サイドをＭＦ工藤が疾走，クロスボールをを入れるとＦＷが落とし，野田が左足で強烈なシュートを放ち，広陵の気勢をそぐ。次第に攻撃の組み立ては右サイドに移行し始め，河本のボールキープと展開から右サイドのＭＦ佐々木のスピードを生かして攻勢に出る。11分にはＦＷ村中がスルーパスを受けゴールに迫る。広陵はチームのダイナモであるＭＦ菱木を出場停止で欠いているため，中盤でボールを奪えず苦しい展開となる。得点源の２年生ツートップ岩田，石井にボールが供給されず，サイドからの攻撃も鳴りを潜める。15分永山南は右サイドのスローインを受けた村中がＤＦをかわし，左足でフリーのシュート。何とか広陵ＧＫ久保田が体に当てたボールをＤＦがクリアする。しかし，19分ゲームの主導権を大いに揺るがす先制点が広陵に入る。ハーフウェー付近で得たＦＫを瀧本がサイドチェンジのボールを左サイドの引き気味で待つＭＦ志摩に送る。すかさず志摩はＭＦ室井に縦パスを入れる。ペナルティエリア内でボールを受けた室井は相手を引きつけセンタリング。このボールにＦＷ岩田が反応，ワンタッチコントロールでスペースにボールを置き左足で強烈なシュートをゴール左へ突き刺した。さらに21分広陵は，瀧本が相手ゴール前で粘りのあるプレーを見せると，こぼれたボールを石井がダイレクトでゴール左へ流し込み２点目を奪った。この２点でゲームの主導権は広陵に傾く。次第にボールを奪うポイントが前になり始める。ＭＦ大谷，小林が中盤でプレスをかけ，両サイドバックの瀧本，志摩の攻撃参加のタイミングもよく両サイドから永山南ＤＦを崩す。永山南も25分工藤が左サイドを突破しセンタリング。村中が見事なジャンピングボレーを放つがボールはバーに嫌われる。次第に河本にボールが集まらなくなった永山南は劣勢に立たされる。　後半も広陵は中盤での粘りのあるディフェンスからゲームを支配する。１対１に強さを発揮し，アプローチもよく，永山南の攻撃陣に前を向かせないディフェンスをする。そのため，河本がいい状態でプレーできない永山南は，上田の攻撃参加のタイミングも途切れはじめ，チャンスをつかめない。そして決定的な３点目を広陵は43分に奪う。この試合大活躍の瀧本からの右クロスを石井がトリッキーなヒールパスをゴール前に送ると，後方から飛び出した室井がスペースに走り込み，冷静に左足で合わせる。勢いにのった広陵は攻撃の手を緩めない。47分にはＭＦ村松がゴール前で粘ってシュート。こぼれたボールは右サイドを経由してもう一度村松へ。ペナルティエリア内をドリブルで侵入したところ，相手ＤＦがたまらずファウル。このＰＫを村松自らが右隅へ決め４対０とする。永山南も上田が49分ゴール前のＦＫから直接狙うが，運に見放されたのか今度はポストに嫌われる。50分の河本の突破も広陵ＤＦの寄せによりシュートまで至らず。逆に広陵は52分志摩のＦＫから大谷が飛び込みながら合わせて５点目。さらに55分には石井のＣＫから室井がヘッドで合わせて６点目をゲットした。開始20分までの展開からは予想できない６対０という大差で広陵が前身のイレブン杯から数えて７年ぶりの優勝を果たした。しかし，得点差ほどの差が両チームの間にあるわけではなく，決定的チャンスをものにした広陵と準決勝でＰＫ戦までの激闘を戦った疲れがあった永山南という図式がこのような結果に終わったといえよう。

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