平成14年度上川代表決定戦

1回戦

緑が丘中(旭川第1代表)4−0(2−0)士別中(士別地区代表)
得点者 曽根(27分,29分,55分),廣富(42分)〔緑〕
緑が丘 GK 清川 DF白石,中村,真嶋 MF瀧新,伊藤,岩原,出崎,廣富 FW高屋,曽根 交替/GK森 FP斉藤,熱田,酒井,黒沼
士別 GK 野月平 DF黒崎,渋川,竹中,田中 MF今井,佐々木,田口,石川 FW平間,土岐
主審/高木(光陽) 副審/添田(春光台),五十嵐(東神楽) 第4審/鈴木(愛宕)
【戦評/久世(北都)】 上川代表決定戦第1試合は,旭川地区第1代表の緑が丘中学校と士別地区代表の士別中学校との対戦となった。プレッシャーのゆるい士別の中盤に対し,緑が丘はボールを支配し,両サイドから攻め上がる展開となった。開始2分,緑が丘は相手陣内でスローインを受けたFW曽根がゴール前に持ち込みシュートを放つがゴールをはずれる。さらにその直後,右サイドでパスを受けたDF岩原からのセンタリングに再び曽根が合わせるが士別GK野月平がキャッチする。その後もMF廣富,高屋が積極果敢にゴールをねらうがゴールマウスをとらえることができない。やや,士別のペースに合わせる感があり,緑が丘は中盤を支配できるものの,ミスパスやボールの持ちすぎが目立ちリズムのよい攻撃が生まれなかった。士別はゲームメーカーの平間が1トップぎみに位置する土岐のスピードを生かそうとするパスを送るが,緑が丘DFも落ち着いて対応し決定機を作らせない。曽根のいる左サイドを起点としながら緑が丘も再三再四ゴールに迫るが得点できず,リズムを崩すのではと思われた27分,MF斉藤からのパスを受けた曽根が左サイドから中へ切れ込むようにドリブルし,ゴール右隅へ狙いすましたシュートを放ち先制点を奪った。この1点で目が覚めたのか緑が丘は,続く29分斉藤からのパスを再び受けた曽根が中央へ持ち込み,ゴール右隅へシュートを決め2点目を奪った。圧倒的にボールを支配した緑が丘が同じような形で2点を奪い,DFラインをおしあげられない士別はなかなかチャンスを作れず前半が終了した。 後半も開始早々,交替出場した熱田のパスを受けた曽根が左サイドに走り込んでのシュートで幕が開く。緑が丘は瀧新が中盤の底で献身的にボールを拾ってボールを展開,完全に中盤を制圧して試合を有利に進める。士別もDF田中が中盤でのボールの奪い合いから左サイドに配球し,走り込んだ佐々木がシュートを放つなどするが,自陣に押し込められているため攻撃が単発に終わってしまう。緑が丘は42分,左サイドのショートコーナーから曽根がボールをキープし,中央の斉藤にパス。斉藤が巧みに抜け出ようとしたところを士別DFがファウル,PKとなる。このPKを廣富が落ち着いてゴール右に決め3点差とする。その後も黒沼,酒井らが積極的にシュートを放ち,追加点をねらう。そして55分,左サイドからペナルティエリアへドリブルで持ち込んだ曽根を士別DFが倒してPK,曽根が自らこのPKを決め,ハットトリックを完成した。終始ボールを支配した緑が丘が斉藤−曽根のホットラインで3点を演出,終わってみれば4点もの差で準決勝へと駒を進めた。




忠和中(旭川第4代表)4−1(0−0)美深中(名寄地区代表)
得点者 沖田(31分,41分),山田(35分),石丸(52分)〔忠〕中野(51分)〔美〕
忠和中 GK本間 DF立崎明,星野,沖田 MF坪山,石丸,小藪,立崎聡,森,竹田 FW高野 交替/FP澤田,山田,嶋村,堀,高橋
美深中 GK田中 DF中野,太田,藤岡,平田 MF橋田,菅野,奥山慎,奥山貴 FW園部,溝渕
主審/宮越(広陵) 副審/大西(附属),北林(東光) 第4審/花輪(東明)
【戦評/則末(神居)】 1回戦第2試合は名寄地区で唯一の中連出場校の美深中と5年ぶりの上川代表決定戦出場となる忠和中との対戦となった。忠和は旭川大会の準決勝以降と同様に負傷の山田の代役に沖田を配置,DFラインの安定をねらった。開始4分美深はFW溝渕のCKを中野が忠和DFの前でヘディングシュート,わずかにはずれたもののやれるという手応えをつかんだ一撃だった。序盤忠和は,MF小藪,石丸が再三ドリブルで突破を試みるが,美深の中盤のプレッシャーの速さ,最終ラインの中野,藤岡の安定したディフェンスにストップされる。ややアプローチが遅れて石丸にシュートを許した10分の攻撃以外は,集中力をもってディフェンスを行った。しかし,攻撃面に力をさく余裕は生まれず,溝渕のスピードを生かしたカウンター攻撃をねらうものの,忠和DF星野のマークも堅くほとんどチャンスを作れない。美深のディフェンスも健闘はしているが,圧倒的にボールを支配している忠和が,徐々にチャンスを作り始める。16分,17分と左サイドの立崎聡が好パスを送り,MF坪山,石丸がシュートを放つなど得点の気配が漂う展開となる。石丸が前線へ飛び出す機会も多くなり,美深DFも対応に苦慮する。19分の素速いリスタートを行ったFKからMF森,25分には左サイドを突破した小藪がシュートを放つがややフィニッシュに正確性を欠き得点を奪えない。CKから沖田の高さを生かした攻撃も実らず,中盤からのドリブル突破もスピードのある中野,藤岡に抑えられてしまう。終了間際DFのクリアミスを拾った石丸のセンタリングに合わせた森のヘッドもポストに嫌われ得点をあげることができず,0対0で前半を終了した。 後半忠和は山田を投入し,沖田を本来の中盤にあげ1点を奪いにいく。開始40秒,中盤でボールを得た沖田がペナルティエリア外やや左位置からトップにあがった小藪にパス。小藪はドリブルで縦に抜けてスピードを落とさず右足を振り抜くとボールはゴール左に叩き込まれ忠和が待望の先制点を奪った。やや疲れの見え始めた美深DFは沖田のスピードについていけない場面が目立ち始め,5分には沖田の中央突破から得たFKを山田がゴール正面から直接決めて2対0とする。忠和は沖田がボールをキープすることで,小藪,石丸がフリーでボールを受ける場面が多くなり,右サイドのスペースを活用して次々とシュートを放つようになる。40分には,山田のロングフィードに小藪が走り込み,抜け出たところを美深DFがファウル,PKとなる。このPKを沖田が落ち着いて右隅に決め,勝負を決定づける3点目を奪う。忠和攻撃陣に対し,スピードへの対処が難しくなった美深DFはファウルで止めるのが精一杯の状態となり,小藪,石丸の縦への強さが一層際だつようになる。美深はDFの中野をトップにあげるスクランブル体制。星野,山田のスピードあるカバーリングにあい得点機をつくれずに終わるかと思われた51分,中野が左サイドから忠和の誇る星野,山田を次々と突破。最後はGK本間をループシュートで破りついに1点を返す。しかし,それもつかの間52分,小藪の右CKを石丸がフリーでヘッド。だめ押しの4点目を奪った。健闘した美深ではあるが,スピードを生かした突破を終始見せた忠和が4対1で勝ち,準決勝への駒を進めた。



富良野東中(富良野地区代表)3−2(0−0,2−2,延1−0)美瑛中(中央地区代表)
得点者 橋本(42分),国分(45分,69分)〔富〕三浦(47分),本山(60分)〔美〕
富良野東 GK佐藤 DF美馬,赤井,国分,磯江,中島基 MF太田,菅原,印部 FW高澤,橋本 交替/中島佑
美瑛 GK真田 DF岩田,浮田,平間 MF浦島,小亀,河本,本山,山下 FW打田,三浦
主審/堀(永山) 副審/宮川(東光),五十嵐(東神楽) 第4審/久世(北都)
【戦評/鈴木(愛宕)】 上川代表決定戦1回戦第3試合は,2年生主体でありながらも当たり負けのしない強さをもつ美瑛と前線からの飛び出しで得点を狙う富良野東との戦いとなった。前半美瑛は右サイドの三浦のスピードのあるドリブル突破からFK,クロスボールなど再三チャンスを作るもゴール前に走り込むFW打田に合わせることができず。一方富良野東は13分,高澤から出されたボールを中央2列目から飛び出してきた橋本が保持,DFとの競り合いから何とか抜け出すと,ペナルティエリアを飛び出したGKと1対1になる。橋本がシュートを放とうとする瞬間,判断よく飛び出したGK真田がブロック,富良野東は決定的チャンスを逃してしまう。14分にもDF赤井から浅い美瑛DFラインのウラをついたボールを高澤がワントラップ後,右足でシュートを放つが,ボールはゴールを嫌うかのように左横を転がる。両チーム幾度もの得点チャンスがありながら互いに生かすことができず0対0のまま前半終了のホイッスルが鳴った。 後半が始まると,これまで圧倒的にボールを保持してきた美瑛だが,富良野東のDFラインにより,ことごとくパスをカットされてしまう。そんな中42分ゲームは動いた。美瑛のファウルにより右サイドで富良野東はFKを得,長めのクロスボールをゴール前に放り込む。ゴール前の競り合いから橋本がシュートを放ち先制点を奪った。さらに攻勢に出た富良野東は45分,右からのセンタリングを高澤が競り合い,こぼれたところを国分が押し込んで,美瑛を突き放す追加点を奪った。この2点により勝利へずっと近づいたと思われた富良野東だが,粘る美瑛は47分反撃のゴールをあげる。ワンツーパスから得たボールをMF本山がキープ。1人,2人とDFを引きつけたところで右サイドから走り込んできた三浦にアウトサイドキックで絶妙なパス。このパスで富良野東DFはあっという間に置き去りにされ,三浦はGKのアプローチを見はからってゴール左隅にシュートを突き放ち1点差へと詰め寄る貴重な1点をもぎとった。さらに美瑛はロスタイム,1点ビハインドの状態でFKのチャンスを得る。だれもが最後の決定機と思ったこのチャンスに,ゴール前で張っていた本山が頭できれいに合わせると,ボールはゴールネットをを揺らした。土壇場に追いつく値千金のゴールで試合は延長戦に突入した。 延長戦は両チーム中盤でのプレスがきつく,互角の攻防が続く。そして迎えた69分,オーバーラップした富良野東国分が2人,3人とドリブルで相手DFを抜いていく。こぼれたボールを高澤がセンタリング。GK,DFが入り交じる中,国分がVゴールとなる得点をヘディングであげ,初めての上川代表決定戦でベスト4の座を射止めることができた。



明星中(旭川第3代表)1−1(0−0,1−1,延0−0)<PK4−1>北門中(旭川第4代表)
得点者 田井(43分)〔明〕御厩(55分)〔北〕
明星 GK松橋 DF辰巳,中尾,光永,山崎 MF上村,田井,門馬,初谷 FW福屋,竹内 交替/FP瀧本,三宅,黒田
北門 GK寺本 DF山口,山ア,嶋田 MF林,長尾,高橋,林崎,御厩 FW木下,鈴木貴 交替/FP市場
主審/西川(聖園) 副審/花輪(東明),北林(東光) 第4審/大西(附属)
【戦評/則末(神居)】 第4試合は中連旭川大会準決勝の再現となるカードとなった。開始早々から両チーム激しい動きと攻守の切り替えの速さでリズムをつかみ合う。明星は田井,上村,北門は御厩,林崎,高橋らが中盤で激しい攻防を見せる。互いに質の高いラストパスを出せる選手を揃えているため,一つのアプローチの遅れが失点につながりかねないスピーディーな展開。北門の攻撃は中盤の組み立てから長尾,林のサイドアタックで両サイドを崩しにかかる。10分には高橋のスルーパスから林が左サイドをスピード豊かに突破しシュートを放つ。一方の明星は,上村が中盤を所狭しと動き回り,福屋のスピード,田井の前線への飛び出しからチャンスを作ろうとする。しかし,北門DF山口,嶋田もよくくらいつき,シュートまでには至らせない。中盤のキープ力に差があり,序盤北門がややボールを支配する時間が長いものの,明星も福屋,田井のスピード有るカウンターで対抗し,一進一退の攻防が続く。両チームのDF陣も体を寄せて懸命のDFを見せ,決定的なシュート場面を作らせない。特に明星の主将上村は中盤からDFラインのカバーまで幅広い動きを見せ,北門の攻撃の芽を次々と摘んでゆく。互いに判断の速さ,攻守の切り替えの速さ,アプローチの速さ,巧みなボールコントロールを見せ,後半への期待で心が躍るようなすばらしい展開で前半を終えた。 後半最初にリズムをつかんだのは北門だった。31分,高橋から右サイドのFW鈴木貴へスルーパス。鈴木貴がすかさずクロスボールを送ると,ボールはフリーで待つFW市場にピタリと合うが惜しくもジャストミートせず。33分には御厩が中盤をドリブルでスルスルと抜け出してシュート。攻撃的に出ようとする明星は前半よりも上村を高めに配置したことでややディフェンス面に不安定さが覗く。北門は高橋,御厩が中盤を支配,明星の矢である福屋に対しても嶋田がよくマークし,ペースを握る。35分北門は縦パスに鋭く反応したMF林が突破。明星DFはユニフォームを引っ張る以外に対処のしようがなく,PKとなる。しかし,このPKを明星守護神松橋が好ブロックし,ピンチを逃れる。このPKで俄然試合は激しくなる。38分には明星竹内が頭で落としたボールを福屋が抜け出してシュートを放つ。そして迎えた43分,右サイドハーフウェー付近からのFKを上村がGKとDFのギャップに絶妙のボールを入れると,フリーで飛び出した田井がヘディングシュート。見事にGKを破ってネットを揺らし,ついにゲームが動いた。1点を奪った明星は福屋をSWに下げて逃げ切り体制を図る。守りに入った明星のDFは堅く,時折見せる上村,竹内のカウンターも効果的で徐々に北門にあせりが見え始める。しかし,実力伯仲の戦いはもつれる展開を見せる。55分,左CKから混戦となり,明星DFが痛恨のハンドでPKを与える。このPKを今度は御厩が冷静に決め同点に追いついた。もちろんこの熱戦は60分で決着が付くような代物ではなかった。終了間際の田井のGKの虚をつくロングシュート,59分の田井のスルーパスから抜け出した竹内のシュートも決まらず勝負の行方は延長戦へ持ち越された。 延長戦では追いついた強みか北門が攻勢に出る。62分には林崎のパスから市場が抜け出してシュートを放つが松橋がまたしてもすばらしいポジショニングでキャッチ。64分の長尾の右サイドを突破したセンタリング,ロスタイムの木下のシュートも試合を決定づけることはできず,とうとうゲームはPK戦に突入した。PK戦ではまたもゴールマウスに立ちふさがる松橋が大活躍。北門のキックを2本ストップ。一方の明星は4本すべて決めて,長かった激闘を制した。1回戦ではなく,まるで全道をかけた代表決定戦のようなハイレベルなゲーム。PKで決着をつけるのが残念な北門の試合振りであった。敗れたとはいえ,上川代表としてもふさわしいような北門の健闘を讃えたい。



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